幻想に終わったドイツの「環境先進国」
2014年は「気候変動」の節目の年だ。今春、07年以来となる「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第5次評価報告書が承認された。12月上旬には南米ペルーで「国連気候変動枠組条約第20回締約国会(COP20)」が予定されている。COPとIPCCは直接の関係はないとされるが、実際にはIPCCの報告を基にCOPの流れは決定づけられる。

今回の評価報告書の内容は、第4次までと大差はない。地球温暖化は人為的に引き起こされ、その最大の戦犯は二酸化炭素(CO2)であり、早急に排出を削減すべきというものだ。今、この「温暖化二酸化炭素主因説」が大きな曲がり角に立っている。

増加に転じた排出量
「ドイツが環境先進国であり、再生エネルギー利用のモデル国家だというのは大嘘だ」英国の気候研究者はこう非難する。

メルケル政権は、2011年福島第一原発事故を見て、22年までの脱原発を決定した。の時、日本では「再生可能エネルギーの占める割合を20年までに35%に増加させる」という部分ばかりがクローズアップされた。実は「同時に最低でも一千万キロワットの火力発電所を建設する」ことも決められていたのである。

実際、火力発電所の新増設は続いている。しかも、これらすべてが褐炭・石炭を利用する。うち数基は二酸化炭素のみならず有毒ガスを多く排出する褐炭火力であることも見逃せない。

ガスと比較して二酸化炭素排出量の多い石炭の採掘はいまだにドイツにおける一大産業であることは周知のとおり。ロシアの思惑に左右される天然ガスに比較して、エネルギー安全保障上も有効な資源なのだ。これらと並行して、ドイツの二酸化炭素排出量は増加している。

11年は前年比2%増、13年も同じく2%増。今年は前年並みの見通しだが、これは増加に歯止めがかかったのではなく「経済に急ブレーキがかかったことで自然に減ったもの」とみられている。

再生可能エネルギー法は足かせに
今年の2月、連邦政府の諮問機関である「研究・革新専門家委員会(EFI)」が、ドイツの再生エネルギー推進政策を完全否定するリポートを発表した。それを要約すれば「(固定買取を定めた)再生可能エネルギー法は、ドイツ経済を圧迫するだけでなく、太陽光発電などの技術革新を遅らせ、挙句の果てに気候変動防止の役に立たない」という衝撃的なものだ。

ドイツ国内における太陽光発電普及による消費者負担は昨年時点で230億ユーロ(邦貨換算約3兆2千億円)に上っている。また、固定買取制度にあぐらをかいたため、高効率太陽電池の開発について経済的動機が生じない。本末転倒になっているドイツのエネルギー政策を辛辣に批判している。

これらは、「破綻しつつある固定買取制度のさらなる見直しなどだけでなく、気候変動枠組条約自体からも撤退する布石ではないか」と、前出の気候研究者は危惧している。

というのも、このまま脱原発を見直さなければ、ドイツはさらに火力発電所を増設する必要があるためだ。最近まで注目されていなかったが、同での「電力の質の悪さは産業のブレーキになってきた」(経済紙記者)。太陽光や風力など出力の安定しない電力が、送電網に大量に流入したことで、微妙な電圧変化が多発している。製造工場では、ほんの0.1秒の電圧、周波数変化が致命傷になる。このために、製造拠点をドイツ外に出す企業も出始め、問題視されている。

ドイツ経済の減速が始まった今、この低質の電力はさらなる悪化要因となりかねない。幸いドイツは国内で安価な石炭、褐炭を調達できるため「すわ原発再稼働」という話にならず、ネックとなるのは二酸化炭素排出だけなのだ。

「ドイツが退場すれば気候変動枠組条約自体が瓦解する」と米国のあるジャーナリストは危惧する。つまり二酸化炭素を温暖化の主因と決めつけた現在のメーンストリームは風前の灯なのだ。懐疑論も多くある二酸化炭素主因説を主導した挙句、自らの都合で放棄しようとするドイツの責任は重い。「環境先進国」の化けの皮が剥がれようとしている。
【「頂門の一針」3496号平成26年11月24日(「選択」11月号 16~17頁より抄 録:N・H)】

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