「沖縄保守」の正体ー基地をネタに税金をしゃぶる悪党

11月の県知事選挙を前に、沖縄を二分、三分する争いが起きている。しかしよく見ると、辺野古移設反対を掲げる勢力のなかには、いわゆる保守陣営が紛れ込んでいる。元をたどれば同じ穴のむじなである「沖縄保守」は、ただの利権集団に過ぎない。

政府は11月に向けて攻勢をかけている。9月17日、新たに沖縄基地負担軽減担当の任を負った菅義偉は就任後初めて沖縄入りし、知事の仲井眞弘多と面談した。その席で普天間基地を「2019年2月までに運用停止」することを約束したが、これは絵に描いた餅に過ぎない。そもそも名護市辺野古沖の埋めた立てと建設工事は5年では終わらない。菅の空証文は、政府の焦りを浮き彫りにしただけだった。

菅の沖縄入りに合わせて旧来利権構造を仕切る人物も動き始めている。沖縄ウォッチャーが語る。「沖縄砂利業界を仕切る『東開発』の仲泊弘次会長が菅の意向を受ける形で、仲井眞支援の動きを活発化させている」

辺野古沖埋め立てに必要な土砂量は東京ドーム17個分に匹敵する2千百万立方メートルに及ぶ。県内だけでは賄えないため、仲泊が県内外の業者を差配することになるとみられている。

▼勝ち馬に乗りたい土建業者
菅の沖縄対策はこれだけでは終わらず、普天間返還後の跡地利用についても言及した。地元選出の自民党参議院議員、島尻安伊子らが「国際医療拠点構想」を掲げ、メーカーの新薬開発研究拠点や重粒子線治療施設を誘致しようとしている。これについて菅は「しっかりと応援していきたい」とお墨付きを与えた。地元医療関係者が首を傾げる。

「シンガポールのような医療観光拠点が目標というが、住宅地に囲まれた普天間にはリゾートホテルなどできない。重粒子線治療のニーズもたかが知れている」

菅がここにきて取り込もうとしているのは沖縄旧来の保守。古くは経世会時代から、基地提供の見返りとして振興策の恩恵にあずかっていた連中だ。長らく沖縄の支配層として君臨してきた人間が中核を形成している。その一部は「中国福建省からの移民の末裔で琉球王国時代からのエリートたちだ」(沖縄研究者)という。地元の基地反対活動家が語る。

「自民党ベッタリで日本政府とともに沖縄を食い物にしてきた『琉球マフィア』だ」

ここに連なるのは基地振興事業で飯を食う地元建設会社の国場組や、名護市で基地誘致を進めていた前市長の島袋吉和といった「土建屋」である。

一方の分裂した保守派はどういったものか。前出沖縄研究者が語る。「沖縄人としての誇りを前面に押し出す『沖縄ナショナリスト』と呼ぶべき勢力だ。

その最右翼が知事選への出馬を表明した那覇市長の翁長雄志である。9月20日、名護市で開かれた「止めよう新基地建設」と銘打った集会で翁長はこう語った。

「オール沖縄でイデオロギーよりもアイデンティティー。私たちは心を結集して闘っていこう」

いわゆる「左翼」とは違った新たな反対勢力のようだが、翁長らを生み出したのは旧来の保守勢力だ。特に仲井眞時代となって以降、「県に従っていればいいという傲慢な姿勢が、保守内部でも反発を生んだ」(前出研究者)。仲井眞も先祖は福建省からの移民であり、典型的な「琉球マフィア」だ。

しかし、彼ら沖縄ナショナリストとて美しい郷土愛に満ちただけの存在ではない。翁長は前述した集会でこう語っている。

「辺野古の海160ヘクタールを埋め立てるがここは国有地、軍用地代とか土地代は入りません」

実は、翁長を支援する移転反対派の中には「基地の賃料を受け取る地主が多く含まれている」(前出反対活動家)という。普天間基地には3000人を超える地主がおり、年間65億円を超える賃料を国から受け取っている。辺野古に基地が移れば、この権利が文字通り消え去るのだ。こうした基地地主にとって普天間問題が永久に解決しないことこそ望みなのである。

翁長をバックアップする企業も多分に思惑を持っている。「金秀グループ」や、観光業者の「かりゆしグループ」がその中核だ。両者のトップである呉屋守将と平良朝敬が、翁長の後援会の共同代表を務めている。仲井眞派の地元建設会社経営者はこう分析する。

「勝ち馬に乗って新たな利権構造を作って牛耳りたいのだろう」

両社ともに県内有数企業だが、経済界での発言力は限定的だ。特に国場組の力は突出しており、現体制のままでは浮上の目はないのだ。翁長勝利の暁には「振興事業の恩恵にあずかろうとしている」(同前)に過ぎない。

仲井眞支持を表明している財界有力グループも蓋をあけると温度差がある。「表向きは仲井眞を支援するということになっているが、実際にはぎりぎりまで見極める」(別の建設会社関係者)という。

▼強奪される振興予算
どちらも沖縄のためを思う「保守」を謳いながらカネ勘定をしている点で、目くそ鼻くそである。もっといえば、「仲井眞陣営と翁長陣営は持ちつ持たれつ」(地元財界重鎮)なのだ。というのも、これまでの沖縄振興策は「反対派がいたからこそ引き出せた」(同前)。稲嶺恵一知事時代に基地反対運動は沈静化して、振興予算は削られ続けた。前述した基地賃料についても「反対派が適度に活動してくれたからこそ、定期的に値上げされた」(基地地主の一人)。

今回、翁長という保守の流れを汲む反対派の出現により、「政府に危機感を与えて、官房長官まで引き出せた」(前出財界重鎮)。仲井眞ら辺野古移転推進派にとって、振興策を上積みさせる口実となる。仮に現状の世論調査通りに翁長陣営が勝利した場合はどうか。前出の研究者が語る。

「革新勢力の相乗りは当選まで。実際に翁長が知事となれば政策や人事を巡って空中分解しかねない」

その後は、翁長のバックに付く企業群や態度を明確にしてこなかった土建業者などが群がり、政府はさらなるバラマキを強要されることになる。

その兆しは既に出ている。前述した医療施設や、カジノ誘致に加えて、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの沖縄進出計画がある。総合リゾート建設に向けて政府が強力にバックアップする。これ以外にも、鉄道建設や「振興基金構想」、プロ野球球団発足の話も地元を騒がせており、あの手この手の「アメ玉」が用意されているのだ。

辺野古基地建設の4千億円に加え、振興策は数千億円規模で目の前にぶら下がっている。このカネが選挙の帰趨に関係なく、薄汚れた「沖縄保守」に強奪されようとしている。   (敬称略)

(選択出版株式会社刊「選択」10 月号100 ~101頁。写真を除き全文採録:士魂伝導師)

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