2013.12.08 12月8日
「鮮明な冬」   高村光太郎

黒船以来の総決算の時が来た 民族の育ちが それを可能にした

長い間こづきまわされながら なめられながら しぼられながら

仮装舞踏会まであえてしながら 彼らに学び得るかぎりを学び

彼らの力を隅から隅まで測量し 彼らのえげつなさを満喫したのだ

今こそ古にかへり 源にさかのぼり 一瀉千里の奔流となり得る日が来た

われら民族の此の世に在るいわれが はじめて人の目に形となるのだ

ひよどりが鳴いている 冬である 山茶花が散っている 冬である

だが昨日は遠い昔であり 天然までが我にかえった鮮明な冬である

ミズリー

「十二月八日」   高村光太郎            

記憶せよ 十二月八日 この日世界の歴史あらたまる

アングロサクソンの主権 この日東亜の陸と海に否定さる

否定するものは彼等のジャパン 眇たる東海の国にして

また神の国たる日本なり そを治しめたまふ明津御神なり

 
世界の富を壟断するもの 強豪英米一族の力 われらの国に於て否定さる

われらの否定は義による 東亜を東亜にかえせというのみ

彼等の搾取に隣邦ことごとく痩せたり われらまさにその爪牙を摧(くだ)かんとす

われら自らの力を養いてひとたび起つ 老弱男女みな兵なり

大敵非にさとるに至るまでわれらは戦う

世界の歴史を両断する 十二月八日を記憶せよ



開戦の報に接して太宰治は短篇「十二月八日」のなかに次のように書いた。

「早朝、布団の中で、朝の支度に気がせきながら、園子(今年六月生まれの女児)に乳をやっていると、どこかのラジオが、はっきり聞こえて来た。

『大本営陸海軍部発表。帝国陸海軍は今8日未明西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり。』

しめきった雨戸のすきまから、まっくらな私の部屋に、光の射し込むように鮮やかに聞こえた。2度、朗々と繰り返した。それを、じっと聞いている裡に、私の人間は変わってしまった。

強い光線と受けてからだが透明になるような感じ。あるいは、聖霊の息吹を受けて、つめたい花びらをいちまい胸の中に宿したような気持ち。日本も、けさから、ちがう日本になったのだ」

ほとんどの国民がそういう爽快感を抱いた。後知恵で軍部に騙されたなどとする戦後進歩的文化人の史観は嘘でしかないのだ。
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